ご法事やご葬儀、お寺の法座にお参りされるとき、皆様はお念珠(ねんじゅ)をお持ちになることと存じます。私たち浄土真宗の門徒にとって最も身近な法具でありながら、その意味や扱い方を改めて聞く機会は、あまり多くないのではないでしょうか。
前回は合掌・礼拝の作法をご紹介いたしました。本日は、その合掌の際に手にかけるお念珠について、意味と扱い方をご紹介させていただきます。
①お念珠とは
お念珠は、主に仏前で礼拝するときに用いる法具でございます。
その起こりは古く、仏教よりも前のインドの宗教にさかのぼるといわれております。それが東へ伝わって仏教の法具となり、西へ伝わったものがキリスト教のロザリオになったともいわれます。
日本へは六世紀の中ごろ、仏教の伝来とほぼ同じ時期に伝わったとされ、当初は貴族や僧侶など、限られた人々の持ち物でございました。鎌倉時代に仏教が広く庶民へ伝わるなかで宗派ごとの形が整えられ、江戸時代には一般の人々にも用いられるようになったと伝えられております。
②「数珠」と「念珠」
同じものを「数珠(じゅず)」とも呼びます。数珠は「珠を数える」と書きますように、お念仏の回数などを珠で数えたことに由来する呼び名でございます。一方の念珠は、仏さまを念ずるときに用いることからの呼び名です。
浄土真宗ではお念仏を大切にいたしますが、称えた回数の多い少ないを問題にはいたしません。お念仏の数を数えることがございませんので、「数珠」ではなく「お念珠」とお呼びしております。
③お念珠の種類
宗派によってさまざまな決まりがございますが、浄土真宗本願寺派には、それほど厳しい決まりごとはございません。
一般にお念珠と呼ばれておりますのは、輪が一重の単輪(たんりん)念珠でございます。珠の大きさや房の形によって、男性用と女性用がございます。輪が二重になった双輪(そうりん)念珠は、僧侶が法要や儀式に臨む際に用いるもので、女性用のお念珠にも見受けられます。このほか、腕にはめて身につける小型の腕輪念珠もございます。
④持ち方と扱い方
お念珠を持つときは、房を下に垂らして、左手で持ちます。
お座りになっているときは、お念珠を持った左手を上にして両手を組み、ひざの上に置きます。
合掌のときは、両手の親指と人差し指の間にかけ、房を下に垂らして、親指で軽くおさえます。
お念珠をこすり合わせたり、音を立てたりすることはいたしません。
大切な法具でございますので、畳や床の上にじかに置いたり、投げたりすることのないようにいたします。置くときは、ひざの上や、かばん、念珠袋の上に置いていただければと存じます。
⑤紐が切れたとき
お念珠の紐が切れますと、「不吉だ」「縁起が悪い」と気にされる方がおられます。けれども、気にされる必要はまったくございません。紐が切れるほど長く大切に用い、それだけ多くの仏縁にあわれた証でございます。
浄土真宗のお念珠は、お念仏の数を数える道具ではなく、阿弥陀さまのお救いにあずかる身の、報恩感謝の思いを表す法具でございます。手を合わせるたびに用いるものでございますので、どうぞ大切にお取り扱いください。

